このストーリーを誰が予想したか。
航空学校を無事卒業した舞ちゃんは、晴れてパイロットになる。それが描かれると思っていた。まさかリーマンショックで就職が1年延期になり、その1年の間に過労でお父ちゃんが亡くなるとは。
ヒロインの実家が小さな町工場というと、2005年放送の朝ドラ『ファイト』がよぎり、ちょっと不安になったのを覚えている。まさかその不安がここにきて的中するとは、本当にびっくりだ。
そもそも『舞い上がれ!』というドラマはフワッとした青春ものなんかじゃなく、どんな向かい風でも力強く生きるヒロインの物語として企画されたということだろうか。だとしたら、航空学校編との落差がすごすぎる。だから脚本家を変えたのかと思うくらいだ。
それにしても、お父ちゃんは最後までものづくりの町・東大阪のええおっちゃんを貫き通したな。会社が倒産しそうなのに社員をリストラできない。あきら兄ちゃんのことも一人前の職人として辞められたら会社にとって大きな痛手だし、ずっと可愛がってきた社員でさみしい想いも強い。でもそんな素振りをいっさい見せずに笑顔で送り出す。社員にはいつも前向きな言葉をかけ、笑顔で元気な姿を見せる。会社のことも病気のことも悠人との関係も痩せ我慢しすぎなのだ。もっと怒りや悲しみやドス黒い部分をさらけ出せていたら、過労で亡くなることはなかったんじゃないか。でもそこがお父ちゃんのいいところであり、舞ちゃんにしっかり受け継がれているところだよね。