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朝ドラ『舞いあがれ!』レコメンドを更新中。

石子と羽男 第10回【マチベンとして生きる】

すべてがスカッと終わった見事な最終回でした。心に染み込むような素敵なセリフがたくさんありました。

裁判官である父と同じ法廷に立ったことで、「君は優秀ではない。今後一切私は手助けしない」と言われてしまう羽男。優秀ではないと親から言われたら堪えるだろうに、

ーやっと本当の俺を見てくれた。それがうれしいです。

という羽男。そこで「私と理想が違うんだ」とようやく気づく父。

親子だからこそわかり分かり合えない難しさ、親だからこそ子どもに自分の理想を押しつけてしまうところはよくわかるなぁと身に沁みた。

 

ーそもそも力が弱くちゃいけないんですか?あなたが弱者と呼ぶ人たちの多くは力が強くなりたいなんて思ってないんじゃないですかね。彼らは誰にも迷惑をかけず、かけられることもなく、ただ普通に日常を送りたいと願う人たちです。

リーガルものって、「勝つか負けるか」が見所だと思っていた。でも『石子と羽男』で声を上げ、裁判を起こす人たちは勝つか負けるかなんてどうでもよく、慰謝料をふんだくりたい訳でもなく、ただただ自分達の暮らしを守りたい、その一心だけだった。これが裁判のリアルであり、弁護士の仕事なのだろう。

 

ー人生って案外短いんだよ。後悔のない人生なんてないけど、ひとつでも少ない方がいいんじゃない?

石子に黙ってラストチャンスの司法試験の願書を出してくれていた父・綿郎さんの言葉。

こういう言い方のできる人になりたいと心から思った。司法試験の「し」の字も言わないで、心にこうスッと入ってくる言い方がまた綿郎さんらしく、素敵だ。

 

結局石子と羽男はリーガルパートナーであり、男女の関係にはならなかった。石子と大庭くんの間に割って入る羽男をちょっと期待していた私としては少し寂しいが、最終回でまさかの羽男からのプロポーズ、

ーこれからも俺の隣にいてください。

が聞けるとは…!

司法試験当日、心配して物陰からそっと見守り、いざという時に傘をさしてくれるのはやっぱり羽男で。

このシーンでも傘をさす展開が胸熱だ。モノクロで表現されたすごくリアルな石子のフラッシュバック。そこに色をもった青色の傘がさされ、その途端景色が色を持ち始める。この演出が素晴らしい。トラウマを持つ人の世界とはこういうものなのだろう。

 

本ドラマが私たちに伝えたかったであろうメッセージを私はちゃんと受け取れたような気がする。そんなテーマ性を持った作品にまた出会いたいと思う。3ヶ月間楽しませてもらいました。ありがとうございました!