〜コンテスト用にタキシードを新調しに出かけたジョーを待つナイト&ディのマスター〜
ー(サッチモちゃん、来てくれてるとええなぁ。せっかくコンテスト出るって決めたのにこのままじゃ、いつもの実力出せんな、ジョーは)
するとジョーが帰ってきた。後ろからサッチモちゃんの姿が見えた。
ーおぉ、おかえり、ジョー。サッチモちゃんも一緒やったんか。それはよかった。
ん?なんだかいつもと違う雰囲気のような。ジョーはニコニコうれしそうだし、サッチモちゃんはずっと俯いたままだけど、その顔は微笑んでいる。二人は目が合った途端、憂いを帯びた目でお互いを見つめ合ったをのをワシは見逃さなかった。
ー(なんや、うまくいったんやな)
二人にコーヒーを出しながら、どんな服にしたのかるいちゃんに聞いてみる。
ーどんな服にしたん?
ー赤のタキシードです。ちょっと派手かなと思ったんですけど。
ーおぉ、真っ赤に燃える恋の色やな。
言った途端、二人ともコーヒーを吹き出す。
ー(そんなわかりやすい反応あるかいな)
ーそういえば、わしも昔、勝負服に赤いタキシード買うたなぁ。そん時好きな子がおってな、次のコンテストで優勝したら、結婚してくれって。
ブッ!また二人ともコーヒーを吹き出す。
ーまぁ、2位やったから、ダメやったんやけどな〜。で、今でも独身や!はは〜っ!
あれ?全くウケてへん。二人とも顔面蒼白や。なんでや?
ーあっ、配達の用事思い出したんで、私、帰ります。ご馳走様でした。
るいちゃんが急に席を立って帰り出した。
ーえっ!?ちょっと待って。僕の部屋にも寄るって言ってたのに…。
慌ててジョーが追いかける。追いかけざま何かこっちを睨んだような…。
ー(なんかワシ、変なこと言うたか?)
まぁ、青春やなぁ。ゴンドラの唄でもかけようか。