ーあれ?サッチモちゃん?
慌ててレコードを隠するい。
ーあっ!あっ、なんでここに?
ーいや、ちょっと買い物。てか、何か隠してる?
るいの背中を覗き込むジョー。それを見てるいは後悔していた。
ー(なんで私はレコードを隠してしもうたんじゃろ?この前レコード屋で勧めてもろたのに別にいらん言うてしもたから?はぁ…なんでこういう時に会うてしまうんじゃろうか)
もごもごしながら、るいが答える。
ーレコード買うたんです。ルイ・アームストロングのsunnyside of the street。
ーえっ!?おめでとう。
満面の笑みのジョーを前にるいはポカンと空いた口が塞がらなかった。
ー(はぁ?何を言うとるじゃこの人は。何がめでたいんじゃ)
ーそれでレコードプレーヤー?
ーでも、すごく高けんですね。びっくりしました。
ー確かに…じゃあ、ナイト&ディで聞けばいいよ。僕もいつもそうしてるし。
ナイト&ディ。ジョーとるいを交互に見てはにやにやするマスター。
ー(サッチモちゃん、うっとりして何も耳に入っとらんなぁ。そないジャズ好きになったんかいなぁ、サッチモだけに。いやいや、そのサッチモちゃんを見るジョーがまたうれしそうやなぁ。なんや、ジョーはサッチモちゃんが好きなんか?おいおい、サッチモちゃん見ててまたシャツにケチャップこぼしよる。これはベリーちゃんが黙っとらんやろな〜)