2階で洗濯物を取り込んでいたるいちゃんが、急に階段を駆け降りてきたかと思ったら、見知らぬ男のシャツのシミを一生懸命拭いている。
「誰やあの男は」
アイロンをかけていた手を止めて、平助は通りに出た。和子も慌てて飛び出した。しかもその男、るいちゃんにシャツを拭かれてニヤニヤうれしそうじゃないか。るいちゃんは本当の娘ではないのになんだか腹が立ってくる。
「なんやあの男、なぁお前」
和子の方を向くと、和子は全く怒った様子もなく、
「なんや見たことあるような…そや!宇宙人や」とつぶやいた。
「宇宙人ってなんや?」
「でもなんや、るいちゃん、うれしそうやな…」
うれしそうやてまさか…と思い、るいを見ると確かに微笑むるいがそこにいた。そんな顔もするんやな、るいちゃん。ぎゅっと心臓が締めつけられる。
さっ、仕事に戻ろ。帰り際ふいに和子と目が合った。
「るいちゃんを見守ろうな」
言葉は交わしていないが、そう聞こえた。わかっとるよ。