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朝ドラ『舞いあがれ!』レコメンドを更新中。

きのう何食べた?season2

飯テロでもBLでもない。これは色んな"愛"の物語だ。

同性カップルのシロさん(演・西島秀俊)とケンジ(演・内野聖陽)の何気ない日常をベースに親、職場、友人との会話からドキッとする気づきがある。それが、このドラマの好きなところだ。

そして、劇中で登場する料理がまぁ普通の家庭料理なんだけど、野菜たっぷりのすぐにマネしたくなるレシピばかり。ここもポイントが高い。

溜めに溜めて、長女と年末年始に一気見した。

 

○玲子さんの落とし前

ケンジの勤める美容室の店長の妻・玲子さん(演・奥貫薫)の離婚の仕方がカッコよかった。子どもが成長し、自分でしっかり稼げる基盤を作った上で、直前まで夫に悟らせず、離婚後も絶対に会わない徹底ぶり。

離婚を一番迷った言葉「入学式に出席するのは君だ」。なんだそんなこと?と思った世の夫の方々、そんな小さいことが大事なんですよ。私の今までの頑張りをちゃんと見ていてくれた、認めてくれている。こんな嬉しいことはないんです。この一言をちゃんと言葉にして伝えられるか、それが人としての力量だなぁとつくづく思う。家族間でも職場でも友人でもだ。これができてるのが、ケンジだ。ちゃんとそう思った時に言葉にしてくれる。ケンジの素敵なところだ。

 

○やっぱり料理は愛。

いつものスーパーでの佳代子さん(演・田中美佐子)とシロさんの会話。自分はかぼちゃはあまり好きじゃないけど、ケンジが好きだから買う。ちょっと高いナスだけど、ケンジが好きだから、まぁいいか。

私の普段の買い物を隠し撮りしてたかっ!?ってくらい心当たりがありすぎる。何を作ろうか、どの材料にしようか、料理は食べさせたい人のことをすごく考える作業だよね。自分ひとりのごはんの時、ホントにカップラーメンになりがち。

また本作は食べる側が美味しそうに食べるのが良い。

 

○やりたい、って顔してる。

仕事が一番じゃない二人が、相手の迷いや気持ちを汲み取って新たなステージへ背中を押すシーン。大事な決断を相談する時、相談された側が自分の価値観だけ言って、迷ってる側がどう考えているか聞かないことってままあるように思う。

シロさんもケンジも相手の表情をよく見ている。そして、仕事が一番じゃない側だったのに年齢や環境によって考えが変わってくることを肯定してくれる。いい関係だなぁと心に残っているシーンだ。

 

○老いじたくの時、大切な人に何を残せるか。

親が子を思う気持ちにいつも泣かされる本作。ケンジの母はケンジが亡くなった時に大切な人(シロさん)に近くで送り出してほしい。そのために家族が事前に会う機会を作ってくれた。同性カップルということで、色々と葛藤もあっただろうに、でもやっぱり子どもの幸せを願わずにはいられない。そんな気持ちが痛いほど伝わって泣いた。

またケンジに姉が二人いる設定の説得力よ。

 

シロさんのお父さんが遺産として残せるものは大してなくても、何か残してやりたい。その想いにシロさんがもうたくさんもらっているよ、と答えるシーン。

私も親が元気なうちにちゃんと感謝の気持ちを伝えなくちゃ。シロさんみたいにあんなに正面切って言える自信ないけど。

 

そして、遺産を残すならケンジしかないというシロさんの壮大な愛。ケンジからしたら、もう充分もらってるよぉ〜かもしれないが、シロさんらしい愛の残し方だと感じた。

同性カップルの場合、社会的にこういう問題が生じてくることをドラマを通して知れるのは大切だと思う。

 

色々と好きなシーンを綴ってきたが、一番の見所はあんなにシロさんになりきっている西島さんが一瞬「西島秀俊」の顔をする瞬間だ。

それは毎話ドラマの最後、クレジットが流れ出す頃に、シロさんとケンジが大体キッチンでいちゃいちゃする。ケンジが結構しつこくまとわりついて、困ったように「もうやめろって〜」となる時の顔はシロさんではなく、"西島秀俊"になっていると私は見ている。ぜひ皆さまにも見ていただきたい。