安子ちゃんが実家にるいちゃんを連れてきた。帰る場面で、
ーじゃ、またね。
と手を振り見送る小しずさんとおばあちゃん。
またね、はもう来ない。
令和になって私もこれを切実に感じることになるとは思ってもみなかった。コロナ禍になって遠方に実家がある私はもう2年半帰省していない。その間に祖母が亡くなった。
またね、はなかなか来ない今、会える時に会いたい人に会う。出来るときにやりたいことをやる。私はそう思うようになった。
一つ良かったのは、安子ちゃんがるいちゃんと実家に帰った際に小しずさんから自分が産まれた日のことを聞けたことだ。
ーほんまに幸せな一日じゃった。
自分が産まれた日のことを母親から聞くってこの上なく幸せなことじゃないですか!
自分がみんなから望まれて愛されて産まれてきたってわかるから。私の場合は、産まれた日に花火大会があって、病院の屋上から花火を見たよと母が教えてくれた。想像するだけで、母の嬉しそうな顔が思い浮かぶでしょ。私も子ども達に話したっけかな。