ジョーのトランペットは音が出ない。それは予想していた。ジョーが定期的にトライしていた!トランペットを諦めていなかった!とうれしくなったのに。
ートランペットが僕ににさよならを言うてる。そんな気がするねん。
私ももう大人だから、想いや努力は必ずしも報われないなんてわかりきっているつもりだった。でも、ジョーのこの言葉を聞いてどうしてこんなにも悲しいんだろう。
ひなたと桃ちゃんはジョーが体を張って何かを伝えたかったことは察して、前を向いた。大なり小なり「なんて人生だ!」と悲観する時が誰にでもある。そんな時に前を向けるかどうか、教育的な話になってしまうが、それは自己肯定感なんだろうなと思う。自分は愛されているという感覚・記憶。ひなたも桃ちゃんもたくさんの愛を受けて育った。だから、大丈夫さ。
そして、ようやく桃ちゃんが吉之丞に「結婚おめでとう」と言えた。
ーもう小夜子から聞いたんか?
吉之丞のこの『小夜子』呼びに漂う大人の男の余裕感よ。これは桃ちゃんが敵うような相手ではなかったな…。