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朝ドラ『舞いあがれ!』レコメンドを更新中。

17才の帝国 第3回 【"17才"に託した希望】

切り捨てる者と切り捨てられる者。現実と理想の乖離と不条理さ。真木くんはそれを雪ちゃんの死から、ワッシーは7年前の父の失脚からそれを身をもって体感している。この2人ならソロンの生み出す合理的政策に人間的な温かみを持たせてくれそうだ。今回、真木くんが市役所の退職候補者の全員面談を行なったように。

ずっとワッシー(演・染谷将太)がウーアの閣僚に選ばれたのは鷲田総理の孫だからだと思っていたが、ワッシーがソロンに選ばれたのにもちゃんと理由がありそうだ。ワッシーと元秘書である父との場面がよかった。

ーお前も実験していいんだ。うまく立ち回ろうなんて思わなくていい。今までのやり方を捨ててもいい。

こんなに背中を押してくれる言葉はない。あの激烈政治家の息子とは思えない穏やかなワッシーの父に救われた。

この言葉で娘の通う高校での校長先生の言葉を思い出した。

ー学校は安全に失敗できる場所です。18歳の大人になるまでにたくさん挑戦して失敗してください。

そうか、『17才の帝国』が18才ではなく17才である意味は、まだ子どもだから色々失敗してもいいというメッセージなのか。そしてなぜ「歳」ではなく「才」なのか。「才」には『生まれつきもっている知能の働き、才能』という意味がある。17才という大人になる手前ギリギリの子どもたちの可能性を信じたい。たくさん失敗してもいいから自由に思うようにやらせてみたい。そこにこそ私たちには思いつかない現状を打開するアイデアが生まれる。そんな希望が本作から感じられる。私はどうしても星野源演じる平の目線でこのドラマを見てしまうようだ。「失敗してもいいから思うようにやってみて」そう言い続け、見守れる大人でありたい。

最後に本作にリアリティを与えている主演の神尾楓珠さんの存在感について。17才の総理というリアリティのない人物像にいかにリアリティを与えるか。それはひとえに神尾さんのあの整ったお顔と国宝級目力だと思うのだ。目が合ったら吸い込まれそう、何を考えているのか読めない。それでいて意志の強さを感じさせる。まさにカリスマの佇まい。それが真木というキャラクターを成立させている。この佇まいは映画キングダムの吉沢亮さん以来だ。神尾楓珠さんの演技に期待。